CSAS Picks:南アジア注目情報
岐阜女子大学南アジア研究センター(CSAS)のセンター員が、南アジアに関する報道、論文、公開資料、書籍、イベントなどの中から、特に注目すべきものを選び、簡潔な紹介とコメントを添えて紹介するコーナーです。
Issue
第1号(2026/06/03)
【CSAS Picks:南アジア注目情報】1
広瀬公巳(特別客員教授)
種別:機関発信記事
出典:JETRO
日付:2026年5月14日
概要:インド南部タミル・ナドゥ(TN)州議会選挙の結果を受け、州最大政党となった新党タミラガ・ベットリ・カザガム(TVK)の党首で人気映画俳優のジョセフ・C・ビジャイ氏が、州首相に就任した。
コメント:ファンクラブを政治組織化する手法は、ドラヴィダ政治運動の伝統とは少し次元が異なる。有名俳優が選挙に出るのではなく、社会正義を実行する人物に「推し」が集まる。
【CSAS Picks:南アジア注目情報】2
三輪博樹(特別客員教授)
種別:メディア記事
出典:The Hindu
日付:2026年5月11日
概要:インドのナレンドラ・モディ首相は、5月10日の集会での演説で、不確実な世界経済、サプライチェーンの混乱、インフレ圧力に耐えるために、総力を挙げて取り組むべきだと呼びかけた。同首相は人々に対して、不必要な金の購入や海外旅行を自粛して外貨の流出を防ぐこと、公共交通機関の利用や在宅勤務を促進することなども要請した。
コメント:中東情勢の悪化はインド経済にも悪影響を及ぼしており、国内では燃料価格の高騰が大きな問題となっている。モディ首相の発言は、こうした状況への対応として国民の協力を呼びかけたものであるが、燃料価格は人々にとって身近で重大な問題であるため、政府が今後の対応を誤れば、政権支持の低下につながる可能性もある。
【CSAS Picks:南アジア注目情報】3
TinWin(特別研究員)
種別:メディア記事
出典:Reuters
日付:2026年5月30日
概要:ミャンマーのミン・アウン・フライン大統領は、2026年4月の大統領就任後初となる外国訪問として、インドへの5日間の公式訪問を開始した。訪問中には、ナレンドラ・モディ首相との会談が予定されており、二国間協力、国境安全保障、連結性、貿易、経済関係などについて協議するとみられている。本記事ではまた、ミャンマーにおける中国の影響力を抑えることや、同国のレアアース資源へのアクセスを探ることに対するインドの関心も指摘している。
コメント:今回の訪問は、ミャンマーをめぐる地域外交がますます複雑化していることを示している。ミャンマーに関する議論は、多くの場合、民主主義や人権という観点から語られ、それらが重要な論点であることに変わりはない。その一方で、インドのような近隣国は、国境の安定、経済的連結性、中国との競争、重要資源へのアクセスといった実務的課題にも対応しなければならない。したがって今回の訪問は、政治的に議論のある政府と向き合う際に、国家はいかに規範的価値と地政学的現実とのバランスを取るべきかという、南アジア研究にとってより広い問いを浮かび上がらせている。この緊張関係を理解することは、インドのミャンマー政策だけでなく、南アジアと東南アジアにまたがるより広い地域動態を読み解くうえでも不可欠である。
注記:原文は英語、センターにて和訳