スリランカ民主社会主義共和国
(Democratic Socialist Republic of Sri Lanka)


   
2023年4月1日現在

                                                 <世界におけるスリランカの位置>           <スリランカの国旗>
                                                                       

   
■一般事情 1.面積 6万5,610平方キロメートル(北海道の約 0.8倍)
  2.人口 約2,216万人(2021年:スリランカ中央銀 行)
  3.首都 スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ
  4.人種 シンハラ人(74.9%)、タミル人 (15.3%)、スリランカ・ムーア人(9.3%)(一部地域を除く値)
  5.言語 公用語(シンハラ語、タミル語)、連結語(英語)
  6.宗教 仏教徒(70.1%)、ヒンドゥ教徒 (12.6%)、イスラム教徒(9.7%)、キリスト教徒(7.6%)(一部地域を除く値)
  7.国祭日 2月4日(独立記念日
  8.略史
年月 略史
紀元前483年 ヴィジャヤ王子(シンハラ族の祖といわれる)スリランカ上陸。シ ンハラ王朝建設
紀元前250年 仏教伝来
紀元1505年 ポルトガル人来航(海岸地帯を植民地化)
1658年 オランダ人来航(海岸地帯を植民地化)
1802年 アミアン条約によりスリランカは英国植民地となる
1815年 キャンディー王朝が滅亡し、全島が英国の植民地化
1948年 英連邦内の自治領として独立
1956年 バンダラナイケ首相就任。シンハラ語のみを公用語とする公用語法 成立。
1972年 国名をスリランカ共和国に改称(英連邦内自治領セイロンから完全 独立)
1978年2月 ジャヤワルダナ大統領就任(実権を有する大統領制の発足)
1978年9月 国名をスリランカ民主社会主義共和国に改称
1983年7月 大騒擾事件、タミル・イーラム解放の虎(LTTE)との内戦本格 化
1987年7月 スリランカ・インド平和協定成立、インド平和維持軍(IPKF) がスリランカへ進駐
1987年11月 憲法改正(シンハラ語及びタミル語を公用語と規定。州評議会制度 を導入)
1989年1月 プレマダーサ大統領就任
1990年3月 IPKF完全撤退
1991年5月 ラジブ・ガンディー印元首相暗殺
1993年5月 プレマダーサ大統領暗殺、ウィジェートゥンガ大統領就任
1994年11月 大統領選挙、クマーラトゥンガ大統領就任
1999年12月 大統領選挙、クマーラトゥンガ大統領再選
2001年12月 総選挙で野党統一国民党(UNP)が大勝、ウィクラマシンハ首相 就任
2002年2月 政府とLTTEとの停戦合意成立
2002年9月 政府とLTTEとの和平交渉開始
2003年4月 LTTEによる和平交渉の一時中断の表明
2003年6月 スリランカ復興開発に関する東京会議
2004年4月 総選挙で野党統一人民自由連合(UPFA)が勝利。ラージャパク サ首相就任。
2004年12月 スマトラ沖大地震及びインド洋津波により、スリランカ北西部を除 く全ての沿岸が被災し、3万人以上が犠牲。
2005年11月 ラージャパクサ大統領就任
2008年1月 停戦合意失効
2009年5月 政府軍、北部LTTE支配地域を全て奪取。紛争終結。
2010年1月 大統領選挙、ラージャパクサ大統領再選。
2010年4月 総選挙で与党統一人民自由連合(UPFA)が圧勝。
2015年1月 大統領選挙、シリセーナ大統領就任。統一国民党(UNP)政権樹 立。ウィクラマシンハ首相就任。
2015年8月 総選挙でUNP勝利。第二党のスリランカ自由党(SLFP)と大 連立形成。ウィクラマシンハ首相再任。
2019年11月 大統領選挙、ゴタバヤ・ラージャパクサ大統領就任。マヒンダ・ ラージャパクサ元大統領が首相就任。
2020年8月 総選挙で与党スリランカ人民戦線(SLPP)が圧勝。マヒンダ・ ラージャパクサ首相再任。
2022年5月 マヒンダ・ラージャパクサ首相辞職。ウィクラマシンハ首相就任。
2022年7月 ゴタバヤ・ラージャパクサ大統領辞職。ウィクラマシンハ大統領就 任。グナワルダナ首相就任。

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■政治体制・内政 1.政体 共和制
  2.元首 ラニル・ウィクラマシンハ大統領
  3.議会 一院制(225議席)
  4.政府
(1)首相名
ディネーシュ・グナワルダナ
(2)外相名
アリ・サブリー
 

5.内政

  スリランカでは、1983年以降25年以上に亘り、スリランカ北・東部を中心に居住する少数派タミル人の反政府武装勢力 である「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」が、北・東部の分離独立を目指して活動し、政府側との間で紛争状態で あったが、2009年5月に政府軍がLTTEを制圧し終結した。

  紛争終結後、ラージャパクサ大統領は任期を2年残し、大統領選挙の繰り上げ実施を決定。2010年1月に大統領選挙が実 施され、同大統領が再選された。その後、同年4月に総選挙が実施され、同大統領率いるスリランカ自由党(SLFP)を中 核とする与党統一人民自由連合(UPFA)が過半数を大きく上回る144議席を獲得して、引き続き政権運営にあたること となった。2010年11月、ラージャパクサ大統領は2期目の任期を開始した。

  2014年、再びラージャパクサ大統領は大統領選挙の繰り上げ実施を決定。2015年1月に大統領選挙が実施され、前保 健相でもあるシリセーナ野党統一候補がラージャパクサ大統領を破り当選。シリセーナ大統領は、統一国民党(UNP)と政 権樹立。ウィクラマシンハUNP総裁が首相就任。2015年8月、総選挙が実施されUNP勝利。単独過半数には達さな かったが、第二党のスリランカ自由党(SLFP)と大連立形成。ウィクラマシンハ首相再任。

  シリセーナ大統領の5年の大統領任期満了に伴い、2019年11月に大統領選挙が実施され、ゴタバヤ・ラージャパクサ・ スリランカ人民戦線(SLPP)候補が当選。新政権の樹立に際し、マヒンダ・ラージャパクサ元大統領が首相就任。 2020年8月、総選挙が実施され、SLPPが過半数を大きく上回る議席を獲得して勝利し、マヒンダ・ラージャパクサ首 相が再任された。

  2019年の爆破テロ事件及び同年のゴタバヤ大統領就任後の大規模減税を含む大きな政策変更を受け、スリランカ経済は 徐々に悪化。新型コロナ感染拡大後は主要産業の観光業が衰退、海外送金額も低下。2022年4月末の外貨準備高は約16 億ドル(1か月分の輸入額に満たない水準)となった。外貨不足により燃料、医薬品・食品等の必需品の輸入供給が困難とな り、3月末以降大統領退陣を求めるデモが各地で続く中、4月4日、大統領と首相を除く全閣僚が辞職。その後、5月9日に マヒンダ・ラージャパクサ首相が辞職し、12日、ウィクラマシンハ新首相(元首相)が任命された。7月9日、大統領退陣 を求める大規模抗議活動が発生し、一部参加者が大統領官邸、大統領府、首相官邸を占拠。これを受け、ゴタバヤ・ラージャパクサ大統 領は14日に辞任。20日、ウィクラマシンハ首相が新大統領に選出され21日就任。 22日、ディネー シュ・グナワルダナ首相(元外相)任命を含む主要閣僚が任命された。


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■外交・国防 1.外交基本方針

ス リランカは非同盟の立場を維持しつつ、歴史的、文化的にも関係が深い隣国インドとは、政治・安全保障上極めて重要な国と して良好な関係維持に努めている。また経済社会開発の観点から日本を含む先進諸国との関係強化を重視しており、紛争終結 前後から、中国との関係も強化されてきている。また、南アジア地域協力連合(SAARC)の加盟国であり、発足当初より その発展に積極的に関与し、2006年にはアセアン地域フォーラム(ARF)にも加盟するなど、域内及び東南アジア諸国 との協力関係強化にも力を入れている。

  2.軍事力
(1)予算
16億3500万ドル(2021年)
(2)兵役
志願制
(3)兵力
25,2000人(陸軍:176,000人、海軍:49,000人空 軍:27,000人)

(出 典:ミリタリー・バランス、2022)


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■経済   (単位 米ドル)(出典:スリランカ中央銀行年報等)
  1.主要産業 農業(紅茶、ゴム、ココナツ、米作)、繊維業
  2.名目GDP

845億米ドル(2021年)(スリランカ中 銀)

  3.一人当たりGNP 3,815米ドル(2021年)(スリランカ中 銀)
  4.GDP成長率 3.7%(2021年)
  5.消費者物価指数(上昇率)基礎年:2013年 7.0%(2021年全国消費者物価指数:年平 均)
  6.失業率 5.1%(2021年)
  7.デット・サービス・レイショ (債務返済額÷総輸出額) 30.0%(2021年)
  8.総貿易額 (2021年)
(1) 輸出:
125億米ドル (2)輸入:206億米ドル
 
  9.主要貿易品目
<2021 年>(1)輸出:
工 業製品(繊維・衣類製品等)77.6%、農業製品21.8%、鉱物0.4%、その他0.2%
(2) 輸入:
中 間財(燃料・繊維関連等)59.6%、消費財(食料品等)18.6%、資本財21.6%、その他0.1%
  10.主要貿易相手国<2021年>
(1)輸出:
米国(24.9%)、英国(7.5%)、インド(6.6%)、ドイツ (6.1%)、イタリア(4.6%)
(2)輸入:
中国(23.0%)、インド(22.4%)、UAE(6.8%)、マ レーシア(3.9%)、シンガポール(3.8%)
  11.通貨 ルピー
  12.為替レート
  • (1)1米ドル:200.43ルピー(2021年末値)
  • (2)1円:1.74ルピー(2021年末値)
  13.経済概況

  スリランカ経済は、紛争の終結による復興需要 や経済活動の活性化等によって、2012年に過去最高となる9.1%の経済成長を達成した。2016年4.5%、 2017年3.6%、2018年3.3%と持続的な経済成長を維持し、2018年の観光客数は233万人に達した が、2019年の経済成長率は同年に発生した連続爆破テロ事件等の影響もあり、2.3%にとどまった。2020年は 新型コロナウイルス感染症拡大による度重なる外出禁止令の発令による経済活動の停滞や観光客の大幅な減少(前年比 73.5%減)、海外労働者送金の減少等により、3.6%のマイナス成長となった。2021年には反動で3.7%成 長となったものの観光客数は伸び悩み、前年比62%減の19万人にとどまった。慢性的な貿易赤字及び財政赤字を背景 として外貨流出が続く中、外貨流出防止を狙いとした輸入規制の導入により、食料・燃料等の生活必需品の不足と物価上 昇が急激に進行した。2022年3月に中央銀行が変動相場制への移行を発表して以降、ルピー安が急激に進行したこと で輸入品価格の上昇に拍車がかかり、2022年4月の全国消費者物価指数は前年同月比で33.8%(食品は 45.1%、非食品は23.9%)で現行の統計基準において過去最高となった。2022年4月末時点の外貨準備高は 約16億ドルで1か月分の輸入額にも満たない水準となり、4月12日には、スリランカ財務省がIMFによる経済調整 プログラムに沿った債務再編が行われるまでの間、対外債務の支払いを一時的に停止する措置を発表するに至った。スリ ランカ政府はIMFとの間で協議を開始・継続中であり、インフレ・食料・燃料等の必需品不足、債務整理、財政改革、 産業基盤強化など課題が山積している。


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■経済協力

• 援助の目的と意義





• 日本の援助の重点分野


ス リランカは、2009年の国内紛争終了後、着実に経済成長を遂げる一方、更なる成長を続けていくための産業高度化の遅れ とそれに付随する労働市場における需給のミスマッチ、運輸や電力などの経済基盤の未整備問題や、地方部における不十分な 社会サービス、地理的な影響による自然災害の発生といった課題を抱える。同時に、約26年にわたる国内紛争の影響によ り、北部や東部を中心に基礎インフラが荒廃するなど、開発が遅れている地域がある。スリランカへの支援を通じて、同国が 抱える課題の解決と更なる経済成長を促すと共に、本邦企業の活動環境の向上にも資する支援を行うことで、両国間経済関係 の一層の発展を促し、友好関係の更なる発展を目指すことができる。また、紛争後の同国の国民和解に向けた取組と経済・社 会発展を促し、南アジア地域全体の民主主義の定着と安定に大きく寄与すると共に、海上輸送路の安定に貢献することができ る。

2018 年1月に国別開発協力方針を策定。重点分野は以下の3分野。
  • (1)質の高い成長の促進
  • (2)包摂性に配慮した開発支援
  • (3)脆弱性の軽減
  1.日本の援助実績 (単位 億円)
  • (1)有償資金協力(2019年度まで、E/Nベース) 11,267億円 (内2019年度実績 0億円)
  • (2)無償資金協力(2019年度まで、E/Nベース) 2206.58億 円(内2019年度実績 34.33億円)
  • (3)技術協力実績(2019年度まで、JICA経費実績ベース)  856.72億円(内2019年度実績 10.34億円)
  2.主要援助国
  • (1) 中国(40%)
  • (2) 日本(11%)
  • (3) フランス(4%)

(2019 年、スリランカ財務省資料)(カッコ内数値は援助国・機関の合計に占める割合)




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■二国間関係    
  日本の大使館 在スリ・ランカ日本大使館
  在日の大使館 在日スリ・ランカ日本大使館・名誉 総領事館
  1.政治関係  

1952 年の国交樹立以来、日本とスリランカとの間には、特に大きな政治的懸案もなく、貿易、経済・技術協力を中心に良好な関係 が続いている。2014年には日本の総理大臣として24年ぶりに安倍総理がスリランカを訪問した。また2015年10月 には、ウィクラマシンハ首相訪日に際し、安倍総理大臣との首脳会談後に「包括的パートナーシップに関する共同宣言」 (PDF)が発出された。また、2016年5月にはシリ セーナ大統領訪日に際し、安倍総理大臣との首脳会談後に、共同で「メディア・ステートメント(PDF)別ウィンドウで開く」を発出した。更に、2017年4月にもウィク ラマシンハ首相が訪日し、安倍総理大臣との首脳会談後に共同声明「包括的パートナーシップの深化・拡大」(仮訳(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く)を発出。2018年3月にはシリセーナ大統領 による、大統領就任後2度目の訪日が実現した後、2019年10月にはシリセーナ大統領が即位の礼に出席するために訪 日。2019年12月には、ゴダバヤ・ラージャパクサ政権成立後初めての南西アジア域外の外務大臣として、茂木大臣がス リランカを訪問した。

  また、日本は2002年の停戦合意以降、明石康・元国連事務次長を「スリランカにおける平和構築及び復興・復旧担当政府 代表」に任命(2002年~2020年)し、スリランカ和平に積極的に関与してきた。2009年5月の国内紛争終結後 も、2015年10月、2016年1月及び2017年10月に野口元朗国際司法協力担当大使(最高裁検事長検事)を和解 プロセスに対する日本の貢献の一環としてスリランカに派遣するなど、継続して平和構築を支援してきた。


  2.経済関係

(1)貿 易額は約666億円(2021年)で、日本はスリランカにとって重要な貿易相手国(輸入は第7位、輸出は第11 位)。日本の輸出355億円、主要輸出品目:自動車、一般機械、電気機器、織物用糸及び繊維製品、プラスチック。日 本の輸入311億円、主要輸入品目:紅茶、衣類及び同付属品、魚介類(まぐろ、えび等)、植物性原材料、非金属鉱物 製品(宝石)。(2021年、日本財務省貿易統計)
(2)2021 年10月現在、日系進出企業は107社(現地商工会所属企業は78社(2020年10月時点))。製造業、商社・ サービス業、建設業が進出。
  3.文化関係
  • (1)文化無償協力については、2020年度までの累計で計29件、累計約 1,149.03百万円を供与(草の根文化無償資金協力を含む)。
  • (2)文化・交流・教育の事業としては、21世紀東アジア青少年大交流計 画、各種国費留学生の選考、各種日本語教育促進、各種文化展示などを実施。
  • (3)日本文化への理解や関心を大きく促進することを期して、国際交流基金 の協力を得て2017年2月から映画「男はつらいよ」(現地語吹き替え、英語字幕)のテレビ放送を開始し、また、同 年中に文化無償事業として「プロジェクトX」などのNHK番組のテレビ放送を開始。更に、2020年には、国際交流 基金放送コンテンツ紹介事業の一環として、「あさが来た」が放送された。なお、2016年10月からは主要ケーブル テレビの1つにおいて「WAKUWAKU JAPAN」チャンネルが設定され、グルメ番組や旅番組など日本の民放番組(日本語音声、英語字幕)が24時間を通じて視聴できるようになり、更なる訪日 観光への追い風として期待される。
  • (4)スポーツ交流の分野では2016年3月に、スリランカにおいて「ス ポーツ・フォー・トゥモロー」事業の1つとして、日本・スリランカ両国サッカー協会共催で「南アジア 日本U-16 サッカー・トーナメント」が、また、2019年9月には、日本・スリランカ両国ラグビー協会共催で7人制ラグビー・ アジア大会が開催され、男女ともに日本チームが優勝を飾った。2021年の東京オリンピック・パラリンピックには、 スリランカからオリンピックに9名の選手、パラリンピックに9名の選手がそれぞれ参加した。パラリンピックでは、 ディネーシュ・プリヤンタ選手が槍投げで世界記録を更新してスリランカのオリンピック・パラリンピック史上初となる 金メダルを獲得した。同競技では、サミタ・ドゥラン・コディトゥワック選手も銅メダルも獲得した。大会を通じ培われ たホストタウン(千葉県山武市、岐阜県羽島市、群馬県前橋市)との交流は、2022年の日スリランカ外交関係樹立 70周年に向け、両国の友好関係の更なる増進に大きく貢献している。
  4.在留邦人数 723人(2021年、在スリランカ日本大使館調 査)
  5.在日当該国人数

27,735 人(2020年6月現在、法務省)

  6.二国間条約・取極 貿易取極、二重課税防止条約、青年海外協力隊派遣取極、投資保護協定、航空協定、技術協力協定

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スリ ランカの地図

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