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ブータン王国 (Kingdom of Bhutan)

     
2023年4月1日現在

                                                                                                                 <世界におけるブータンの位置>            <ブータンの国旗>
                                                                                                                                       

   
■一般事情 1.面積 約38,394平方キロメートル(九州とほぼ同じ)
  2.人口 約77.2万人 (2020年:世銀資料)
  3.首都 ティンプー(Timphu)
  4.民族 チベット系、東ブータン先住民、ネパール系等
  5.言語 ゾンカ語(公用語)等
  6.宗教 チベット系仏教、ヒンドゥー教等
  7.略史 17世紀,この地域に移住したチベットの高僧ガワン・ナムゲルが,各地に割拠する群雄を征服し,ほぼ現在の国土に相当 する地域で聖 俗界の実権を掌握。

19世紀末に至り東部トンサ郡の豪族ウゲン・ワンチュクが支配的郡長として台頭し,1907年,同ウゲン・ワンチュクがラ マ僧や住民に推さ れ初代の世襲 藩王に就任,現王国の基礎を確立。1952年に即位した第3代国王は,農奴解放,教育の普及などの制度改革を行い,近代化政策を開始した が,1964年, 地方豪族間の争いに起因する当時の首相暗殺や,その後に任命された首相による宮廷革命の企み発覚を契機に,首相職が廃止され,国王親政となっ た。

1972年に16歳で即位した第4代国王は,第3代国王が敷いた近代化,民主化路線を継承・発展させ,王政から立憲君主制へ の移行準備を主 導。

2006年12月,第4代国王の退位により,現国王(第5代目)が王位を継承。

2007年12月及び2008年の総選挙を経て、 2008年4月に民主的に選出されたティンレイ政権が誕生し、5月には国会が召集され、7月に憲法が施行し、王政から議 会制民主主義を基本とする立憲君主制に移行した。

2008年11月に、現国王の戴冠式が行われた。2013年には、第2 回総選挙が実施され、また、2018年11月の第3回総選挙を経てロティ・ツェリン・ブータン協同党(DNT)党首が首 相に就任した。

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■政治体制・内政 1.政体 立憲君主制
  2.元首 ジグメ・ケサル・ナムギャル・ワンチュク国王(第5代)
  3.議会 二院制 (上院25議席、下院47議席)
  4.政府 (1)首相  ロティ・ツェリン
(2)外相  タンディ・ドルジ

5.内政
    (1)第4代国王主導によ り、90年代末から憲法制定委員会の設置など、議会制民主主義への移行準備が進められ、2006年12月に即位した 第5代国王の下、2007年12月に上院議員選挙が、2008年3月に下院議員選挙が実施された。これを受け、憲法 草案に基づき、2008年4月、下院議員選挙において勝利したブータン調和党(DPT)のジグミ・ティンレイ党首が 国王により首相に任命され、新内閣が発足した。2008年5月、新国会が召集され、憲法等の法案審議が開始され、7 月、憲法が採択された。 (2)2018年10月、 第3回総選挙が実施され、ブータン協同党(DNT)が第一党の座を獲得。ロティ・ツェリンDNT党首が国王により首 相に任命された。

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■外交・国防 1.外交
  • (1)非同盟中立政策を外 交の基本方針としつつ、近隣諸国との関係強化を図っている。1971年に国連に加盟。ブータンは、1980年代に入 るとバングラデシュ、ネパールを始めとする近隣諸国の他、日本、西欧等との間で外交関係を樹立する等対外関係を拡大 した。国連安保理常任理事国とは外交関係を有していない。
  • (2)地域協力機構として 1985年12月に発足したSAARC(南アジア地域協力連合)を重視し、その発展のため積極的な対応を行ってきて いる(ブータンは原加盟国)。2010年4月には、首都ティンプーにてSAARC首脳会合を開催。また、2004年 4月にはACD(アジア協力対話)に加盟した他、2004年8月にはBIMSTEC(多面的技術経済協力のためのベ ンガル湾構想)に加盟した。
  • (3)インドとは、 1949年のインド・ブータン条約により特殊な関係(対外政策に関するインドの助言)にあったが、2007年3月の 改定により同助言に関する条項は廃止され、経済協力、教育、保健、文化、スポーツ及び科学技術の分野での協力関係の 促進を謳った新たな規定が盛り込まれた。
  2.軍事力
  1. 予算  約17百万米ドル(2017年:推定)
  2. 兵力  約1万名(ア ブータン国王軍:約 7,000名、イ ブータン国王親衛隊:約2,000名、ウ ブータン警察:約1,000名)。ブータン国王軍 は志願兵制。
  3. 兵役 ブータン国王軍は志願兵制。
  4. 駐留外国軍 インド軍事顧問団(ティンプーその他主要地点に駐留し、軍事支援を提供。)

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■経済   (単位 米ドル)
  1.主要産業 農業、林業、電力(水力発電)、観光
  2.名目GDP 23.2億ドル(2018年:世銀資料)
  3.一人当たりGNI 3,000米ドル(2020年:世銀資料)
  4.経済成長率 -10.1%(2020年:世銀資料)
  5.インフレ率 5.6%(2020年:世銀資料)
  6.失業率 4.3%(2020年:世銀資料)
  7.外資準備高 1,510百万米ドル(2020年:世銀資料)
  8.総貿易額
  • (1)輸出 20,732百万ニュルタム
  • (2)輸入 66,456百万ニュルタム
    (2020年ブータン政府資料)
  9.主要貿易品目 (1)輸出  シリコン、電力、石類セメント等
(2)輸入  軽油、ガソリン、鉄製品、米等
(2020年ブータン政府資料)
 

10.主要貿易相手国

(2020年)

(1)輸出  インド、バングラデシュ、ネパール、イタリア
(2)輸入  インド、フランス、中国、タイ、シンガポール、ド イツ
(2020年ブータン政府資料)
  11.通貨 ニュルタム(NU)
  12.為替レート 1NU=1インド・ルピー=約1.71円 (2022年7月1日現在)
  13.外国直接投資純流入額 -278万米ドル (2020年:世銀資料)
  14.経済概況

 

  • (1)ブータン政府は、 1961年以降、5年ごとに策定される開発計画に基づく社会経済開発を実施。2013年7月からは、第11次5ヶ年 計画が開始された。就労人口の多くが農業に従事しており農業が重要な位置を占めているが、近年は水力発電所の建設や 周辺国への売電を含む電力セクターの開発により、工業部門のGDPに占める割合が上昇している。
  • (2)ブータンは、国内市 場が小さく、ほとんど全ての消費財や資本財をインド及び他国からの輸入に依存しているため、慢性的な貿易赤字を抱え ている。インドとの輸出入が圧倒的なシェアを占める中で、インド・ルピー以外の外貨収入を得る手段として豊かな観光 資源の開発も重要な課題となっている。
  • (3)開発の原則として、 国民総生産(GNP)に対置される概念として、国民総幸福量(GNH: Gross National Happiness)という独自の概念を提唱している。経済成長 の観点を過度に重視する考え方を見直し、(ア)経済成長と開発、(イ)文化遺産の保護と伝統文化の継承・振興、 (ウ)豊かな自然環境の保全と持続可能な利用、(エ)良き統治の4つを柱として、国民の幸福に資する開発の重要性を 唱えている。
     

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■経済協力 1.我が国の援助実績 (累計、単位 億円)
(ア)無償資金協 力(2018年)
396.15
(イ)技術協力 (2018年)
223.95
(ウ)有償資金協 力
2007年4月:
ブータンへの初の円借款となる「地方電化計画」(約35.76億 円)を供与決定。
2011年6月:
「地方電化計画第2フェーズ」(約21.87億円)に関する交換 公文に署名。
(2)主 要援助国(2019年)
  • (1) 日本
  • (2) オーストラリア
  • (3) オーストリア
  • (4) スイス
  • (5) ドイツ
  2.主要援助国(2019年)
  • (1) 日本
  • (2) オーストラリア
  • (3) オーストリア
  • (4) スイス
  • (5) ドイツ

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    ■二国間関係    
      日本の大使館 在インド大 使館が、在 ブータン大使館を兼轄
      在日大使館 在 日ブータン大使館・名誉総領事館
      1.政治関係

    • (1)1986年3月28 日に外交関係を樹立(なお、1971年9月国連にてブータンの国連加盟の共同提案国となったことにより、我が国は同 国に対する黙示の国家承認を行った。)。以来、我が国とブータンとの関係は、皇室・王室間を含む要人の交流、故西岡 京治氏(コロンボ計画/海外技術協力事業団(現・国際協力機構(JICA)派遣専門家))の農業振興指導をはじめと する経済協力を通じ、友好な関係を構築してきた。ブータンにとって我が国は重要なドナー国である。また、ブータン は、国際機関での選挙・決議等において我が国を支持してきている(安保理改革に関するG4枠組み決議案の共同提案 国、国連人権委員会等)。
    • (2)ブータンの王政から 議会制民主主義への移行にあたり、ブータンより、日本からの積極的支援の期待が表明されたことを受け、ブータン国営 放送への支援、国会議長及び高等裁判所長官の訪日招聘、地方行政支援等を実施。2007年11月には、ブータンにお ける総選挙の公正かつ円滑な実施を支援するためにUNDPを通じて約107万ドルの緊急無償支援(遠隔地における TVセットの設置、仮設投票所の設置・オフィス機材供与、選挙・民主主義に関する番組作成等)を実施した。また、 2008年3月に実施された下院選挙にあわせ、我が国は、在インド大使館公使を団長とする3名から構成される監視団 を首都ティンプー及びプナカに派遣した。
    • (3)2011年3月11 日の東日本大震災に際しては、地震発生後の翌12日に国王陛下主催による祈りの式典、13日にはティンレイ首相主催 による祈りの式典が行われ、義捐金100万米ドルが寄付された。そのほか全国主要寺院での三日間にわたる一斉法要 や、小学生によるスポンサーウォークなど、多方面にわたる支援が寄せられた。
    • (4)2011年は外交関 係樹立25周年にあたり、11月に東日本大震災後初の国賓としてジグミ・ケサル国王陛下及びジツェン王妃陛下が訪日 し、宮中行事、国会演説、福島及び京都訪問などを通じ、日本への敬意と親愛の情、これまでの日本のブータンの国づく りに対する支援への深い謝意とともに、東日本大震災の被害に対するお見舞い及び連帯を伝えた。
    • (5)2016年は外交関 係樹立30周年にあたり、両国で様々な記念行事が行われた。特に、同年5月に東京で開催された展覧会「ブータンしあ わせに生きるためのヒント」の開会式にはヤンドン王母陛下及びヤンゾム王女殿下が出席した。また、ティンプーで開催 された「ブータン日本週間」の開会式に出席するため河井総理補佐官がブータンを訪問した。
    • (6)2017年6月、 ブータン政府の招待により、眞子内親王殿下がブータンを訪問され、「ブータン花の博覧会」開会式に主賓として参列さ れた他、ティンプー及びパロにおいて様々な行事に出席された。
    • (7)2019年10月、 即位礼正殿の儀参列のため、ジグミ・ケサル国王陛下及びジツェン・ペマ王妃陛下が訪日。
    (参考)
    1986年3月 外交関係樹立。
    1988年3月 在大阪ブータン王国名 誉領事館設置。
    2000年3月 在大阪ブータン王国名 誉総領事館となる。(2003年閉鎖)
    2004年12月 在東京ブータン王国名 誉領事任命(2007年2月閉鎖)
    2010年4月 在東京ブータン王国名 誉総領事館、在大阪ブータン王国名誉領事館(2021年7月閉鎖)、在鹿児島ブータン王国名誉領事館設置。

      2.経済関係
    (1) 貿易額(単位:100万円)
    (年) 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
    日本への輸出 292 246 265 121 22 23 107 184 74 712 381
    日本からの輸入 1,535 1,495 429 848 2,062 2,074 1,029 1,091 682 690 591
    (2) 主要品目
       輸出 生鮮・冷蔵野菜、合金鉄等
       輸入 小型掘削機、合金鉄・非合金鋼・鉄製品、自動車関連部品等
      3.文化関係     (1)政府間の文化交流活動(各種留学・研修・招聘事業)の他,日本ブータン友好協会(1981年1月設立)及び神戸ブータン友好協会 (1981年1月設 立)等が友好親善と文化交流の促進に努めている。
     
       (2)年間2万人以上の外国人観光客がブータンを訪問するが,2010年の日本人観光客は3,136人(全体の13.4%)であり,米国の 4,786人 (全体の20.4%)に次いで第2位であった。特に,2011年のジグミ・ケサル国王陛下及びジツェン・ペマ王妃の国賓訪日以降,日本人観光 客が急増して おり,2012年1月〜6月の期間で,日本人観光客数が3,587名を記録し,外国人観光客数の中で最多となった。
      4.在留邦人数 124人 (2021年)
      5.在日当該国人数 479人 (2021年10月)
      6.二国間条約・取極 外交関係樹立に関する交換公文、青年海外協力隊派遣取極等
    ブー タンの地図

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