バングラデシュ人民共和国 
(People's Republic of Bangladesh)

     
2023 年 4月1日現在
                                                                                   <世界におけるバングラデシュの位置>                        <バングラデシュの国旗>
                                                                                                     

     
■一般事情 1.面積 4万4千km2

2.人口 1億6,468万人(2020年、世界銀行)
  3.首都 ダッカ
  4.人種

ベンガル人が大部分を占める

ミャンマーとの国境沿いのチッタゴン丘陵地帯には、チャクマ族等を中心とした仏教徒系少数民族が居住。


5.言語

ベ ンガル語(国語)、成人(15歳以上)識字率:75.6%(2020年、バングラデシュ統計局)

  6.宗教

イ スラム教徒88.4%、その他(ヒンドゥー教徒、仏教徒、キリスト教徒)11.6%(2020年、バングラデシュ統計 局)

  7.略史 1947年8月14日  パキスタンの一部(東パキスタン)として独立 1971年12月16日  バングラデシュとして独立

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■政治体制・内政 1.政体 共和制
  2.元首 Md.アブドゥル・ハミド大統領
  3.議会 一院制(総議席350)
  4.政府 首相 シェ イク・ハシナ
  5.内政
  • (1)バングラ デシュは、二度の独立(1947年の印パ分離独立及び1971年の西パキスタンからの独立)を経て誕生した。インド からの分離独立は、宗教(イスラム)をアイデンティティの基盤に据えたものであったのに対し、1971年の独立は、 ベンガル人としての民族的アイデンティティを基盤に成し遂げられたものであった。
  • (2)独立後は 国父ボンゴボンドゥ・ムジブル・ラーマンの下で国造りが進められたが、1975年、国軍将校によるクーデターにより ムジブル・ラーマンが暗殺されたことにより、長期に亘り軍政(ジアウル・ラーマン政権(1977年~1981年)、 エルシャド政権(1983年~1990年))が敷かれることになった。しかし、1990年、エルシャド大統領が退陣 に追い込まれた結果、民主化へ向けた道筋がつけられ、以降、2大政党(アワミ連盟、BNP)のいずれかが政権を担う 歴史を辿ってきた。1991年の憲法改正では大統領制から議院内閣制へと移行し、一部期間を除き、基本的に5年ごと に総選挙が実施されてきている(1991年、1996年、2001年、2008年、2014年、2018年)。
  • (3)2009 年に誕生したハシナ・アワミ連盟政権は、独立50周年にあたる2021年までに中所得国になることを目標とする「ビ ジョン2021」政策、2041年までに先進国入りすることを目標とする「ビジョン2041」政策をかかげ、全国 IT化を目指す「デジタル・バングラデシュ」を打ち出した。2014年には、BNP率いる野党18連合がボイコット するまま総選挙が実施され、与党アワミ連盟が圧勝した。
  • (4)2015 年に入り、総選挙1周年を機に野党連合が再び反政府運動を強め、2月~3月の2か月で100人以上の死者が発生する 事態となった。また、イスラム過激派の動きも見られ、世俗的な作家・ブロガーに対する襲撃事件が散発的に発生したほ か、9月にはイタリア人がダッカ市内で、10月には邦人が北西部で殺害されるなど、過去に見られなかったような外国 人を標的とした襲撃が行われるようになった。その後もイスラム教シーア派やヒンドゥー教宗教関連施設等を狙った襲撃 事件が続き、こうした中、2016年7月、ダッカ市内の外国人居住区にあるレストランにて、日本人7名を含む22名 が犠牲となるダッカ襲撃テロ事件が発生した。ハシナ首相はテロを一切容認しない「ゼロ・トレランス」を掲げ、過激派 の摘発に全力で取り組んでいる。
  • (5)2018 年12月の総選挙は、前回(2014年)選挙をボイコットした野党BNPも参加した形で実施され、与党が圧勝。ハシ ナ首相はバングラデシュ史上初の3期連続で首相就任。2021年3月には、国父ムジブル・ラーマン生誕100周年 (新型コロナにより2020年実施予定を1年延期)及びバングラデシュ独立50周年を盛大に祝賀した。
  • (6)国内南東 部に広がるチッタゴン丘陵地帯は数多くの少数民族が居住する地域で、ミャンマーや印北東州とのつながりが強い地域で あったが、1971年独立後、多数を占めるベンガル・イスラム系住民の入植が進められた結果、少数民族との間で摩擦 が高まり、武力衝突にまで発展した。その後、1997年の和平協定の調印によって少数民族とベンガル人入植者との間 での抗争は終結した。しかし、和平協定に反対する一部少数民族組織の対立等で治安情勢は不安定になりやすい状況にあ る。
  • (7)また、 1990年代以降、バングラデシュと国境を接するミャンマー・ラカイン州からイスラム教徒が国境を越え難民として流 入していたが、2017年8月以降、バングラデシュに新たに約70万人の避難民が流入し、現在も帰還は実現せず、地 元住民の負担が増大している。バングラデシュ政府は10万人規模の居住施設をバシャンチャール島に建設し、同島への 避難民の移住を推進してきている。国連によれば、現在、国内に約93万人の避難民が避難している。

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■外交・国防 1.外交基本方針

  国父ムジブル・ラーマンは、「敵意なく全ての 国と友好を」というスローガンを掲げ、全方位外交を提唱。インドを初めとする南アジア諸国やイスラム諸国を始め、日 本を含む主要援助国を中心に友好関係を構築してきた。2016年10月には習近平・中国国家主席が訪問し、2019 年7月にはハシナ首相が中国を訪問するなど、中国との関係も急速に強まっている。SAARC(南アジア地域協力連 合)、ベンガル湾多分野技術経済協力イニシアティブ(BIMSTEC)、南アジア・サブリージョナル経済協力 (SASEC)、非同盟グループ(NAM)、イスラム諸国会議機構(OIC)、英連邦等のメンバー。また国連平和維 持活動に積極的に参加し、要員派遣数は約6,700人で、全派遣国中1位(2022年4月現在)。



■経済   (単位 米ドル)



  1.主要産業 衣料品・縫製品産業・農業
  2.実質GDP 2.707億ドル(2020年、バングラデシュ中央銀行)
  3.一人当たりGDP 1.961ドル(2020年度、バングラデシュ統計局)

  4.経済成長率 6.94%(2021年度、バングラデシュ統計局)
(注)バン グラデシュの会計年度は7月~翌年6月末。2021年度は2020年7月から2021年6月。
  5.GDP内訳 サービス業(51.92%)、工業/製造業(36.01%)、農林水産業(12/07%)(2021年度暫定値、バング ラデ シュ統計局)
 

6.消費者物価指数上昇率

5.81%(2022年4月時点、バングラデシュ銀行)
  7.労働市場

労 働人口:6,350万人 雇用人口:6,082万人 内:農業(40.6%)、サービス業(39.0%)、工業/製造業 (20.4%)
(2017年度・バングラデシュ会計年度、バングラデシュ統計局)

  8.総貿易額 (1)輸出 339億ドル(バングラデシュ銀行) 
(2)輸入 544.0億ドル(バングラデシュ中央銀行 

(2021年度)

  9.主要貿易品目
(1)輸 出(2021年度(バングラデシュ会計年度)、バングラデシュ銀行)
縫製品 (ニット含む)(85.1%)、繊維類(3.6%)、皮革・皮革製品(1.8%)、魚介類(1.4%)、野菜 (0.7%)
(2)輸 入(2021年度(バングラデシュ会計年度)、バングラデシュ銀行)
鉱物石油 製品(12.0%)、綿花(12.4%)、原子炉・機械(8.8%)、鉄鋼品(5.4%)、プラスチック及びその成 形品(5.2%)、電気機械(4.8%)
  10.主要貿易相手国
(1)輸 出(2021年度(バングラデシュ会計年度)、バングラデシュ銀行)
米国 (16.5%)、ドイツ(14.2%)、英国(9.5%)、スペイン、フランス、ポーランド、イタリア、インド、オ ランダ、カナダ、日本(11位、2.8%)(以上輸出額が多い順)
(2)輸 入(2021年度(バングラデシュ会計年度)、バングラデシュ銀行)
中国 (25.3%)、インド(16.9%)、シンガポール、米国、日本(3.9%)、インドネシア、ブラジル、マレーシ ア、UAE、韓国
  10.通貨 タカ
  11.為替レート 1米ドル=84.8タカ(2021年度平均、バン グラデシュ統計局)
  12.経済概況
  • (1)バングラ デシュ政府によれば、2019年度(2018年7月-2019年6月)に、過去最高の8.15%のGDP成長率を達 成した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けたことにより、一時経済が落ち込んだが、2021年度のGDP成 長率は6.94%となり回復傾向にある。
     経済成長を牽引している縫製品の2021年度輸出額は、約255億ドルで、2020年度は減少したものの、 2021年度は2019年度の水準まで回復している。輸出額に占める縫製品の割合は2019年度87.6%であった のに対し、2020年度は86.8%、2021年度は85.1%と徐々に低下している。
     バングラデシュ財政を支えてきたもう一つの屋台骨である海外労働者送金は2019年7月より開始された2%の キャッシュインセンティブが主要因とされ、2021年度の海外労働者送金は約248億ドルに達し、前年度比で 36.2%増加した。一方、新型コロナによるバングラデシュと主要出稼ぎ国との国際線運航や経済状態の影響で多くの 海外出稼ぎ労働者が帰国したため、2022年度(7月から4月)の海外労働者送金は、前年同期比で19.43%減と なっている。バングラデシュ政府は2022年1月から送金に対するキャッシュインセンティブを2.5%に引き上げる と発表したことから、今後の送金額回復が予想される。
     バングラデシュ経済は海外送金や輸出品の約8割を縫製品に依存する構造的な脆弱性を抱えている。また天然ガスの枯 渇によりエネルギーを中心とした輸入の増加が見込まれるため、今後の持続的発展に向けた産業の多角化、財政構造の改 革が課題。更なる海外投資促進には、電力・道路等の基礎インフラの整備と共に、既存の企業が税制面や通関等で抱える 問題を解決し、将来への投資環境を整備することが急務である。
  • (2)バングラ デシュの財政は慢性的な赤字となっており、これを外国援助と国内銀行借入等で補填する構造となっている。これは、主 に政府の徴税能力及び歳入基盤の脆弱性、また非効率な国有企業に対する財政による赤字補填に起因している。国際機関 は政府関係機関のキャパシティ・ビルディングや人材育成が必要であると指摘している。
  • (3)予算は主 に一般予算(Revenue Budget)と開発予算(Annual Development Programme)により構成さ れ、2022年度予算案ではそれぞれ3兆6,150億タカ(約5兆2,779億円)、2兆3,708億タカ(約3兆 4,614億円)となり、全体として6兆368億タカ(約8兆8,314億円)の対前年度比約6.3%増の拡張型予 算となっている。
  • (4)順調な経 済成長を背景に、2015年には世界銀行の分類で低中所得国となり、2018年3月には国連のLDC卒業基準3項目 を全て達成した。2026年にLDCを卒業する予定。
     

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■経済協力 1.日本の援助実績

2020年度

(1) 有償資金協力
3,732.47(累 計総額 23,958.29(E/Nベース))
(2) 無償資金協力
41.34(累 計総額 5,016.00(E/Nベース))
(3) 技術協力
26.24(累 計総額 959.01(JICA経費ベース))


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■二国間関係    
  日本の大使館 在バングラ デシュ日本大 使館
  在日大使館 在 日バングラデシュ大使館
  1.政治関係 経済協力関係を中心に友好関係が発展。極めて親日的な国民性。

1972年2月10日 日本側、バングラデシュを承認
1972年3月3日 バングラデシュ、東京に大使館開設
1972年7月1日 日本側、ダッカに大使館開設
  2.経済関係  
   
(1)対 日貿易(単位:百万ドル)(輸出:輸出振興庁、輸入:バングラデシュ銀行)
(ア) 貿易額
  2016~17年 2017~18年 2018~19年 2019~20年 2020~21年
輸出 1,013 1,132 1,365 1,200 1,184
輸入 1,735 1,870 1,846 1,720 2,001
(イ) 主要品目(2021年)
輸 出 縫製品、ニット製品、革・革製品、靴・帽子、革製品等
輸 入 鉄鋼、船舶、原子炉関連、車両、機械・電気製品、光学・精密機器
(2)日 本からの直接投資(バングラデシュ銀行)(単位:百万ドル)
  2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
投資額 30.93 58.40 72.33 35.06 91.05

  3.文化関係 国費留学生の受入、文化無償協力の実施、在バングラデシュ大使館による映画会・講演会の実施等。
  4.在留邦人数

1,080 人(2021年10月1日現在)

  5.在日当該国人数 17,394人(2021年6月、入国管理局)
  7.二国間条約・取極 青年海外協力隊派遣取極
航空協定
文化協定
租税条約
投資保護協定
技術協力協定

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バン グラデシュの地図

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