1.園池遺構(えんちいこう) |
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池と円形の石組みが一体となった園池遺構が見つかりました。池の南側(上流部)にある円形の石組みは手水(ちょうず)のような施設であったと考えられます。隣には池があり、石組みで護岸され、池底には白い砂と川原石が敷いてあります。南側の岩盤を伝った水が円形の石組みに集められ、そこから溢れ出した水が池へと流れ出し、さらに池から谷川へと排水されるような仕掛けであったと考えられます。
居館の奥に手水施設がある構造は、室町将軍足利義政の別荘「東山殿(ひがしやまどの)」(現在の慈照寺)や「東山殿」建設時に手本としたといわれている「西芳寺」と類似しています。
園池遺構は室町将軍邸の庭(唐物飾りの茶座敷の庭)の系譜につながる可能性があります。1600年(慶長5)の関ヶ原の合戦の前哨戦で落城した後は、放置され、埋まったと考えられます。
○手水(ちょうず)
手を洗い、口をすすぐための施設
○室町将軍邸
京都市内の各所にあった将軍の邸宅。現存する将軍邸はない。三代将軍足利義満が建設した室町殿(むろまちどの)は「花の御所」と呼ばれた。また、八代義政が建設した東山殿、十三代義輝の二条御所、十五代義昭の二条邸などがある。十二代義晴の頃の将軍邸の様子が「洛中洛外図屏風」の描写から伺い知ることができる。
○唐物飾りの茶座敷
大陸から輸入された「唐物(からもの)」と呼ばれる高価な美術工芸品を並べた座敷で茶を楽しむもので、その建物に伴う庭で、洛中洛外図屏風などから、草木を植え、石を立て並べ、池があり、白砂が敷かれていた。
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