課題研究テーマ

課題1 デジタル・アーカイブの新しい展開と今後の課題

情報社会の進展に伴い、デジタル・アーカイブの対象は、文化財を中心とした時代から、個人や地域に関わる資料、行政や企業等の資料へと多様化の道を歩んできている。また、デジタル・アーカイブ化の手法も、テキスト・静止画・動画による資料の記録を中心とした時代から、CG・GPS・立体スキャナー・多方向同時撮影といった多様な手法が用いられるようになってきた。そんな中、著作権やプライバシーに関する課題も顕在化しかつ多様化してきた。ここでは、デジタル・アーカイブの開発・活用に関わる問題点や人材育成に関する課題を議論し、今後のデジタル・アーカイブの展開についての方向性を考える。

課題2 TCTを活用した教育支援環境

教師一人一台のPC利用環境が急速に整備されつつある。これに伴い校務情報システムと呼ばれるシステムが活用されはじめている。このような教育支援環境は直近では効率化を具現化するものとして認識される面があるが、経営情報としての教育改善や意思決定支援、改革支援等の長期的な観点から、優れた実践研究等を取り入れてビジョンを検討する必要がある。このためには、国内や海外の取り組みを知る必要がある。また、このような課題は初等中等教育のみならず高等教育等においても同様の課題認識があり、IR: Institutional Researchへの関心が急速に高まってきている。
本課題研究では、このような課題背景にもとづき、情報システムの構築、活用による教育改善・改革、調査研究等の知見から今後の教育支援環境のビジョンを考えたい。

課題3 教育資料・実践

学校現場が抱える課題は、益々複雑化し混迷の度合いを増している。教育問題は今や、教育制度の範疇を超えて大きな社会問題として認識されるようになった。そこで、本セッションでは、教材開発、教材資料の活用上の問題点(例:著作権など含む)など学校教育を取り巻くさまざまな課題について検討すると共に、教師の自己研修と教科書の存在価値、授業研究の在り方について情報交換を行う。

課題4 教育と著作権

教育は多くの場合、他人の著作物を教材として利用する。そのことについて適法であるかどうかについて教職課程ではほとんど教えられてこなかった。そのため、様々な誤解や拡大解釈が教育現場に広がっている。一方、情報技術は飛躍的に変化しているため教科書と黒板という道具だけではない教育方法が広がっている。
学会の著作権等研究会の活動状況を踏まえつつ、教育関係者が自ら守らなければならない基本的なガイドラインや著作権等を意識した教育・研究活動について、法律の専門家や教育関係者で議論を深める。

課題5 高等教育の改革と評価

本セッションでは、授業の改善と評価、FDの組織化とFDの効果検証、FDプログラムの開発と効果検証、カリキュラム・デザインとカリキュラム評価、学生調査とIR、アクティブ・ラーニングの開発と効果検証、SDプログラムの開発と効果検証、TADプログラムの開発と効果検証、大学教員の職能開発と評価、教員評価などに関して研究、実践報告を集約するとともに、今日の大学に求められる改革・改善の方向性とその妥当性を検証したい。

課題6 教師教育・教員研修

学校教育の成果は、究極のところ児童・生徒・学生の教育に直接携わる教員の資質能力に負うところが大きい。教師教育及び教員研修に一貫する教員の資質能力の形成過程には、@教員養成段階、A教員採用段階、そしてB教員研修段階がある。近年の我が国の教師教育・教員研修に関する施策や課題等について、教員養成・教員採用・教員研修の各段階に関わる様々な立場からの教育実践・調査研究により、情報交流及び研究協議を行う。

課題7 TCTと特別支援教育

障害のある幼児児童生徒をめぐる動向として、障害の重度・重複化や多様化、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)等の幼児児童生徒への対応や、早期からの教育的対応に関する要望の高まり、卒業後の進路の多様化、ノーマライゼーションの理念の浸透などが見られるところである。 こうした動向をふまえ、特別な教育的ニーズのある子どもへの情報教育の充実、コンピュータ等の教材・教具の活用や、教員や学校のICT化を進めるため等の教育情報について情報交換したい。