大野郡白川村〜結のこころが息づく村〜

 白川村は、岐阜県の北西部に位置し、西には国立公園指定の白山火山帯、東には標高1,000m以上の天生山地がそば立ち、その間を庄川が北流して富山県に入っています。 集落は庄川沿いに点在し、中心は鳩谷・荻町付近。大家族で知られた合掌造り集落が今に残っています。 荻町の合掌造り集落は、1995年12月9日ユネスコの世界遺産委員会において富山県の五箇山合掌造り集落とともに、日本で6番目の世界遺産に登録されました。日本では、他に法隆寺地域の仏教建造物・姫路城・屋久島・白神山地・古都京都の文化財が登録されています。 白川村は、例年11月中旬に初雪を迎え、積雪は4か月に及ぶという冬季は厳しい生活を強いられる土地であり、また山々に囲まれた孤立した山村というイメージでしたが、近年、国道の整備などとともに人々の生活にも改善がみられるようになってきているといいます。 しかし、昔から生活や生産の全般にわたる近隣の協力体制として人々が育んできた結(ユイ)と呼ばれる協力体制は連綿と受け継がれており、現在でも、合掌屋根の葺き替えにおいてそのこころは生かされています。

参考 『角川日本地名大辞典』21 岐阜県 (1980年9月 角川書店)