設立会開催報告

平成13年3月12日(月)

未来会館
〒502-0841 岐阜市学園町3−42

 

挨拶

特定非営利活動法人地域資料情報化コンソーシアム理事長
地域資料デジタル・アーカイブ化協議会理事長
岐阜県知事 梶原 拓様 

議事

事業活動計画の報告

「デジタル・アーカイブ化の課題」
菊川 健(文部科学省メディア教育開発センター教授)

岐阜県知事

梶原 拓様

 皆さんこんにちわ。 地域の情報がデジタル化される、それをNPOが推進すると、そういう新たな組織がコンソーシアムという名で新しく設けられまして、私共も大変喜んでおります。 これまでの皆様のご努力に感謝申し上げたいと存じます。
 まさに今、報告の中にありましたように、20世紀の財産を21世紀に残していく、そういう責任が私共に負わされていると思うのでございます。 そういうお仕事を、堀先生はじめ、すばらしい立派な方々中心に進めて頂くということは、願ってもないことでございまして、県といたしましても、大いに喜ぶべきことであると思います。
 たまたま、私現在全国のデジタルミュージアム推進協議会の会長を授かっておりまして、ミュージアム構想というものを進めております。 各市町村で、その地域の文化財、お祭りがあり、あるいはお寺、神社仏閣がある。あるいはその土地特有の食習慣、いろいろなものがございますが、それをデジタル化いたしまして、インターネットにそれぞれ入れる、そういうことを前の自治省、今総務庁と言いますが、そこが交付税で支援するという仕組みがございます。 それぞれ市町村が、地域内の文化財をインターネットにどんどん入れていきますと、自ずからその全体をまとめますと、ジャパンミュージアムというものができあがります。外国、世界から見ましても、日本が分かりやすくなる、親しみやすくなる、こういうことでございまして、このプロジェクトを岐阜県も取り上げて、県自体、あるいは市町村の一部のところにも事業を進めて行きたいと思います。 その中で、こういうNPOがスタートされますと、願ったり叶ったりでございまして、ぜひそういう構想にもご参加頂いて、どの県よりも早く、岐阜県のミュージアムだという、ジャパンミュージアムの前に岐阜ミュージアムというものが立派にできるというようなことになれば、すばらしいことだなあと、こんな風にも思います。
 ずいぶんお世話になりました選挙の中で申し上げましたが、県民が主役ということをアピールしてまいりました。 県民の皆さんが、観客席で県政を観覧するという段階から、県民総参加というスローガンのもとで、応援団のところまで移って頂きました。 これからさらに一歩進めまして、県民の皆さんがグラウンドまで降りてきて頂いて、ご自分がプレーヤーになって頂く、そういう時代ではないかと、これが県民が主役という趣旨でございまして、ぜひこのコンソーシアムも主役になって頂いて、そして21世紀大きな評価につながるような業績を残して頂きたいと思います。 私たちもパートナーとして、あるいは脇役として、ご支援を一生懸命させて頂きたいと、そのことを今日お約束をさせて頂きたいと思います。
  このコンソーシアムのこれからの大きなご発展を心よりお祈り申し上げまして、お祝いのご挨拶とさせて頂きます。おめでとうございました。

特定非営利活動法人地域資料情報化コンソーシアム理事長

堀 幹夫
(岐阜女子大学学長) 

 地域資料情報化コンソーシアム理事長の堀でございます。本日は、御多忙中にもかかわらず岐阜県知事である梶原拓様にご臨席をいただき、特定非営利活動法人地域資料情報化コンソーシアムの設立会を開催することができることを大変光栄に思っております。
 岐阜県は梶原知事様を中心に、わが国で最も情報化のインフラ整備が進められている県であります。今後は各地域で流通可能な情報の内容を整備し、いかに人々に潤いのある生活・文化・教育・産業などに役立てるかが地域の活性化の大きな課題となってきました。
 そのために、平成12年6月に岐阜県工業会会長である岡本太右衛門様を中心にして地域資料デジタル・アーカイブ化協議会を設立していただき、同時に当協議会の構成メンバーを発起人にした特定非営利活動法人を岐阜県から認証を頂き、いよいよ本格的な活動を始められるようになりました。IT(情報技術)特に、情報の流通については、インターネットに代表されるように、県とか国の境がなく、協議会としても、岐阜県をベースとして、広域を視野に入れて活動できるように準備を進めてきました。その結果、お手元の資料に見られますように北海道から沖縄までの、地域資料等のデジタル・アーカイブ化の共同開発が進められる状況になってきました。
 さらに、文部科学省メディア教育開発センターや財団法人学習ソフトウェア情報研究センター等の協力で、フランスを手始めに世界・全国資料の記録や資料利用ができるように準備を進めてきました。このことにつきましては、後ほどメディア教育開発センターの菊川教授より詳しくご説明をしていただけます。また、デジタル・アーカイブ化の機材としては、学習システム研究会等のご協力で、デジタル・ハイビジョンカメラを使った、高品位な地域資料の撮影の記録が可能となりました。
 しかし、情報流通には、県や国の境がありませんが、組織としての配慮をしなければならなく、協議会の設置と同時に岐阜県のNPOの設置申請をしました。申請後、公示期間等が約4ヶ月かかり、平成12年11月末に認証されました。その後、法人登録を進め、12月にNPOとして認められました。これで、広く国内外の活動を進める地域資料デジタル・アーカイブ化協議会と、岐阜県内の活動を主とした特定非営利活動法人地域資料情報化コンソーシアムが設置でき、多くの方々の協力を得て、県内外に向け活動を開始できることになりました。運営組織としては、運営委員会を設置し運営委員長に岐阜女子大学の後藤忠彦教授にお願いし、地域のデジタル・アーカイブ化および、情報流通の推進を積極的に進める所存です。
 今世紀は、文化と産業が情報メディアにより結びつく時代です。今後、市町村を始め企業、教育等社会の情報化は、ハードが中心であったこれまでの時代から、デジタル・アーカイブ化などの情報内容(コンテンツ)の開発・利用の時代へと発展します。そこで、これらを支援する、本コンソーシアムの会員として是非ご参加下さるようお願い致しまして、簡単ですがご挨拶といたします。

地域資料デジタル・アーカイブ化協議会理事長

水谷 晃三
(文溪堂社長)

 ただいま司会よりご紹介いただきました,地域資料デジタル・アーカイブ化協議会副理事長の水谷でございます。まずもって特定非営利活動法人地域資料情報化コンソーシアムの設立をお喜び申し上げます。また、本日大変多忙にも関わらず、梶原岐阜県知事様にご臨席を賜り、誠に有り難うございました。この場を借りてお礼を申し上げます。
 さて、今我が国をはじめとして世界的にIT革命の時代と言われております。社会の情報化・ネットワーク化が進む中,世界的な情報通信ネットワークの企業とメディア関連企業との合併が行われる時代になっております。そのような中で,我が国ではこれまでハード的な情報通信基盤の整備に重点が置かれており,情報内容いわゆるコンテンツに関する整備が他の国と比べて遅れているのが現状であります。特に,地域資料の情報化は特定の文化財的な資料や博物館,美術館などの資料の一部がデジタル・アーカイブ化されているに過ぎず,地域資料を組織的に情報化するといったところまで至っていないように思われます。そのような現状を考えますと,地域資料デジタル・アーカイブ化協議会ならびに特定非営利活動法人地域資料情報化コンソーシアムに期待されているところは多くございます。
 そこで、地域資料デジタル・アーカイブ化協議会は、地域の皆様をはじめとして企業,行政,教育関係者といった幅広い方々の参加によって地域に存在する資料をだれでも利用できるようにデジタル・アーカイブ化し,それをまた皆様が使えるようにしていこう,それを支援していこうということが設立趣旨であります。また、この協議会では、市町村、各施設等に協力し、地域の情報化を「デジタル・ハイビジョン動画撮影」、各種カメラによる静止画を撮影し、将来、高品位の画像資料の保存、情報化を進めています。
 具体的には、つぎのような6つの事業を行います。
 まず第1に、市町村、施設の情報化の支援による観光・文化産業の活性化。
 2つ目には、博物館等の資料の情報化支援による博物館の活性化。
 3つ目は、地域資料の学校・生涯学習施設等へ提供・利用の推進支援による情報教育の推進。
 4つ目は、インターネット等を使った市町村等の地域情報の流通支援によるまちづくり推進。
 5つ目は、県民参加型「デジタル・アーカイブス」作品コンクールなどの実施による情報化の啓発。
 そして、最後に資料の情報化研修を考えております。
 そこで、これらの事業を具体的に展開するための組織として、広く国内外の活動を進める「地域資料デジタル・アーカイブ化協議会」と、岐阜県内の活動を主とした「特定非営利活動法人地域資料情報化コンソーシアム」を設置し、多くの方々の協力を得て、県内外に向け活動を開始できることになりました。また、昨今の高度情報化の進展にともない、「まち」の中における情報の重要性も高まってきており、パソコン、ファックス、携帯電話といった情報通信機器の家庭への普及が進むとともに、インターネットの利用者も急速に増加しています。 このようなことから、今後、「まちづくり」は「情報化」に関する検討を抜きにして進めることはできないと考えており、「まちづくり」に関する検討そのものにおいてもデジタルアーカイブスを活用する事例も出てきています。このような意味からも、このコンソーシアムに市町村も参加いただくことにより、地域の情報化による「ひと」と「まちの資産」の組み合わせから創出される新たな「機能」を創出することで、「まち」を望ましい方向に発展させていくことができると考えています。
 今後とも、この特定非営利活動法人地域資料情報化コンソーシアムの発展を祈念いたしまして、ご挨拶とさせていただきます。

事業活動計画の報告

三宅 茜巳
(事務局)

 事務局の三宅でございます。それでは特定非営利活動法人地域資料情報化コンソーシアムの事業経過と今後の方向についてご報告をいたします。
 今まで,地域資料のデジタルアーカイブスにつきましては、学習システム研究会,文部科学省の財団でございます学習ソフトウェア情報研究センター,岐阜大学,岐阜県生涯学習センター,岐阜県総合教育センターが連携しまして,昭和63年から様々な研究を実施してまいりました。特に、平成9年度から3年間かけまして,後藤忠彦教授を委員長とした実行委員会方式で,岐阜県社会教育施設情報化活性化推進事業を,岐阜県生涯学習センターが中心となりまして実施してまいりました。
 この事業につきましても,高山市,河合村,谷汲村,並びに県下20の博物館や資料館のご協力を得まして,新たに3万点の地域素材情報を収集して活用していただいております。これらの事業は,総額約5億円かけた事業でございますので,これらの研究事業で蓄積された全国の地域情報は数十万点になります。そこで,平成10年度の実行委員会において,もっと発展的に県内全域に地域資料の収集を広げていけるような組織を作る必要があるのではないか。また,各方面から,これらの素材情報を,今後継続的に活用できるような支援組織はできないかという要望がありました。これらの要望により,この事業を,今後継続的・発展的に推進するために,地域資料デジタル・アーカイブ化協議会が設立されました。 その後、この協議会が主体となりまして、特定非営利活動法人地域資料情報化コンソーシアムの設立に至りました。
 その後、この協議会とコンソーシアムが協力して行った事業一覧を、お配りしております資料に列挙しておきました。
 まず、この後に、菊川教授にお話をいただくユネスコ世界遺産のサンサバン教会の記録、サイエンスワールドの記録、北海道開拓の村および文化施設、特別企画「いにしえの美濃と飛騨」のデジタル・ハイビジョンによる記録、沖縄県琉球村および文化施設、宮崎県 村所神楽の記録、岐阜県 谷汲踊りの記録、岐阜県 河合村天羽湿原の記録、「高山市三町伝統的建造物群保存地区の記録他」飛騨民俗村(飛騨の里)、高山市郷土館の記録/昔ばなし、「ユネスコ世界文化遺産白川郷の記録」などがあります。なお、これらの地域映像は、協議会やコンソーシアムが中心となり、各市町村様を始め岐阜県生涯学習センター、岐阜県総合教育センター、岐阜県博物館、岐阜県文化財保護センター、文部科学省メディア教育開発センターなどの多大なご協力により撮影し、提供しておりますことを付け加えさせていただきます。 この他にも、CD-ROMによる県内20施設の博物館の資料を収集した「バーチャル・ミュージアム」、また、白川村の資料を提供する白川郷のホームページの作成などがあります。これらにつきましては、会場に展示してございますので、後ほど是非ご覧いただきましてご感想などをお聞かせいただければ幸いです。
 しかし、今後これらの資料をどのように活用するかという点につきましては、地域の活性化にどのように生かすかという視点が重要です。そこで、来年度より市町村などの各地域と岐阜市や全国とをつないで、月1回「文化情報メディア」展示会を定期的に行っていきます。そこでは、各地域の情報を全国に発信するイベントと共に、いろいろな各地区の地域の文化・芸術や物産などの展示・流通などを考えています。また、同時に収集した地域の情報を、岐阜でも、各地域でも、全国でもいつでも、どこでも、だれでも見ることができるように、インターネットを使った地域における文化情報メディアの重点的な流通も開催します。このことが、地域の情報化・活性化につながっていきます。
 次に、デジタルアーカイブスされた作品を広く募集し、全国的なデジタル・アーカイブ作品コンクールを行います。このコンクールは、県民参加型のコンクールとして、作品をインターネットで公開し、県民の皆様にその評価をしていただくような新しいコンクールの形式を全国に発信していくコンクールとなると思います。また、これらの地域の情報を集約した「JAPAN メモリー」、岐阜県内の地域情報を集約した「ぎふ メモリー」、また市町村毎の「市町村 メモリー」、例えば「かわい メモリー」というようなホームページを立ち上げます。このホームページを通じて地域の情報を全国に発信することができれば、コンソーシアムが地域に貢献する証となると考えています。そのために、「岐阜文化情報メディアシステム」及び「日本文化情報メディアシステム」を構築し、今後の情報発信の基盤を作っていきたいと考えております。
 今、20世紀を21世紀に残すことは、私たち20世紀に生きた人間にとっての責任ではないでしょうか。まだ、この国には、まだ記録されていない20世紀が多くあるような気がしています。このような特定非営利活動法人地域資料情報化コンソーシアムの事業が、岐阜県の21世紀型の地域の活性化やまちづくり、さらに生涯学習活動などにつながっていくことを祈念して、事業報告とさせていただきます。